「ハアッ、ハアッ」

暗い暗い夜の事だった。彼女は何故か急ぎ足で帰っていた。勿論用事があるわけでも無い。だが、何かに逃げている足取りだった。彼女は大量の汗をかいている。顔は元々白そうなはだがさらに白くなり青ざめたようにもみえる。しかし、今起きている状態では確かな反応なのかもしれない。だって彼女は今得体の知れない生命体に終われているのだから。
(なんなのよ!!この生き物!!これは現実なの!?夢なら早く覚めて!!お願い!!!)
「あっちにいきなさいよ!!こっ、この化け物!!」
彼女は精一杯の声で叫んだがその生き物は拒むどころか逆に大量のだんがんをうってきた。
「きゃあ!!」
幸い彼女はしゃがみこんだため当たらなかった。が、その生き物は懲りることも知らずに追ってくる。
(あの先をいけばトンネルがある!!あのデカい図体なら入れ無いはず!!)
彼女が思いたったトンネルは歩行者用の小さなトンネルで一人通るのがやっとのほど狭いトンネルだった。小さな希望をもち、スピードを上げた彼女だったが、何かに足をとられた。
「あっ!!」
転んでしまった!!ヒールで走っていたせいもあるのだろう。それに足元も暗くて意識していなかったため石につまずいてしまった。ここらへんは古い道のため街の方のレンガづくりの道路より道が細く、砂利などが好き放題散乱している。近道しようと思った選択が地獄に変わってしまった。
ジリジリと近ずいてくる化け物。体じゅうに纏っているじゅうが彼女の方を向いた。
(私ここで死ぬの?いっ、いや!!)
その考えを裏切るかのようにじゅうは彼女をとらえうつ体制に入った。
(もっ、もうダメ!!)
そんなことを思った刹那、目の前が爆発と共に火をあげた。目の前にいた化け物は一瞬にして灰になった。そして私の目前には白髪の少年が立っていた。